「ゴードン恵美レターカッティング入門ワークショップ2017」ワークショップレポート

東京と福岡のワークショップに参加して

清水裕子

IMG_1044今回のワークショップ(以下WS)、私は、初心者が多く参加した東京会場では講師アシスタントとして、福岡会場では受講者として参加しました。福岡会場は、東京とは対照的に参加者は経験者のみの少人数で、師匠の工房で学んでいるような贅沢な3日間でした。福岡ではデザインのクリティーク(合評)の合間に、新たな手法としてビード・モールド(玉縁)を習いました。また、私個人の作業として、作品にプラチナ箔を入れる全行程を自分で体験し、エナメルや箔を入れたサンプルの石も作りました。石に彫った線は、彫り跡や陰影だけでも美しいものですが、エナメルや箔を入れるか入れないかで変わる印象を、手に取って比較できる石ができあがったことをとても嬉しく思っていIMG_7648ます。エナメルを文字に入れること、箔を貼ることは、過去のWSでも数回実演を見せてもらっており、自分でも既に作品に取り入れていたことでしたが、WSでその全行程をひとりで行ったのは初めてでした。今まで疑問に思っていた箇所、ちゃんと理解できていなかったり忘れていたりしたプロセスなども、講師からアドバイスをもらって確認しつつ行えたことは、今回の大きな収穫でした。これだけのことをこなすと、3日間はあっという間に終わってしまいます。レターカッティングWSには1週間ほど欲しいくらいです。

!cid_801A35B5-6FC0-4272-A3E3-796A12A63327東京では、一歩引いたアシスタントの視点で全体を見ることができました。ゴードン恵美さんのワークショップは、石に向き合う(彫る)までのプロセス(デザインのドローイング、石磨き、道具準備など)を丁寧に進め、各自がそのプロセスを通して大切なことを学び取り、自分の彫る石との距離が自然と近づいていくように組み立てられていることを、今回改めて感じました。特にデザインに関しては、講師の考えを先に話すことは皆無で、参加者全員から意見を出してもらいつつ、本人にしっかり考える時間を与えてくれます。そして自分がハッピーかどうかということが、何事の選択においても大切なのだと気付かせてくれます。レターカッティングは、彫る前のドローイングからがスタートです。東京会場に参加した初心者の皆さんも、デザインのクリティークを繰り返して文字の修正を重ねました。WS3日目の試し彫りに辿り着くまでは、苦しい「ほふく前進」だったかもしれません。しかし、各自納得いくデザインで彫り始める石は、きっと思い入れたっぷりの作品に仕上がることと思います。是非この先石彫り会(有志の勉強会)に参加して、ご自分のペースで彫り進んで行ってもらえたらと思っています。そして、6回目を迎えた今回のWS。どちらの会場にも複雑なレリーフに取り組み始めた経験者の姿がありました。こちらも今後の進捗が楽しみです。

 

<初参加の方のご感想>

今回初めてレターカッティングのワークショップに参加しました。エンピツで文字の輪郭を追っていくという作業は、カリグラフィーの平ペンで書くよりも外側と内側の輪郭を意識しなくてはなりませんでした。ひたすら描くのは大変でしたが、先生や皆さんの意見を参考に、ほんの少し線を動かすだけで文字の形がどんどん変わっていくので、とても楽しく取り組めました。諸先輩方は数年単位で作品を仕上げていると伺い、普段の仕事ではできないじっくり取り組む作品になりそうで楽しみです。(K Y)

石を彫って作品を作りたいと言う気持ちだけで申し込みました。文字の知識も無く、WSも3日間参加して石彫りをして帰れると思っていましたが、参加した初日に自分の考えの甘さを思い知りました。文字のデザインを参加した人達とクリティーク(合評)する事により、正直ここまで突き詰めて考えるものなのだと驚きを感じました。しかし、3日間通してそれが続き、はじめの驚きがそのうち当たり前になりました。正直3日間考え抜くことで苦しんだのですが、朝、会場に行くとき「よし、今日も頑張るぞ!」と思えたので良い苦しみだったなと思います。文字のデザインを考えるということに対する姿勢も、今回参加する事により得られたものは、これからの自分にとって大きな収穫だったと思いました。あと、たくさんのアドバイスをしてくれた参加者の方たちと出会えたことも今回参加出来て良かったことです。石彫りはこれからの勉強会の参加で、また色々と学んで行きたいと 思います。(M S)

私はデザイン画のクリティークで3日間が終わりましたが、それとは別に流れや道具、初歩的な技術はひとつひとつ丁寧に教えてくださいました。全てが初めてのことでメモを取るので精一杯でしたが、レターカッティングがあんなに地道な作業だということに驚愕。そしてクリティークでは先生、生徒、皆さんの意見や考え方で文字の魅力を知ると、レターカッティングの見方が変わりました。私にとって本当に期待以上のワークショップとなりました。(K S)

ずっと受講したいと思っていたレターカッティングのワークショップは、あっという間の3日間でした。チームに分かれてのクリティークはとても緊張しましたが、形としてずっと残るものなので納得のいくまでデザインを考えることの大切さを教えていただきました。そして恵美さんや参加者皆さんの熱意とエネルギー!それはどれだけ素敵な作品が出来るのかを期待させてくれます。ひと通り習った石の扱い方や彫る技術を身につけるにはまだまだ時間が必要ですが、けっして急がず、こつこつと続けていきたいと思います。本当に充実した楽しい時間でした。ありがとうございました。(S E)