寄席文字ワークショップ
10月31日、羽ペン工房では橘流寄席文字書家の橘右門氏をお迎えして、 寄席文字のワークショップを行いました。3月には、勘亭流歌舞伎文字のワークショップも開催しましたが、この日も江戸文字と呼ばれる個性あふれる世界を堪能することが出来ました。
当日は、右門さんが実際に書かれた作品を持参くださり、壁に貼らせて頂きましたが、その迫力に感動…。
最初は、スライドによる説明を受けました。
寄席文字もいわゆる江戸文字の中に入ります。
混同する方も多いと思いますが、寄席には寄席文字、勘亭流と言えば歌舞伎にしか使われません。寄席に勘亭流?…そういうことはあり得ないのです!
他に相撲文字、狭義の意味において江戸文字(提灯とか千社札に使用)があるそうです。
そしてフォントで見かけることもあると思いますが、実際に習うと、かなり違うかもしれない…と気付かされることも!何でもそうですが、実際に書いてみてその成り立ちを習得することは大切なことなのだと思います。
次は、お待ちかねの右門さんのデモンストレーションです。どんな筆遣いで書かれているのか、みなさん興味津々…。ある程度までは、同じ筆で小さな線まで書かれてましたが、大胆でありでも繊細な動きに目が釘付けとなりました。
いくつか特徴的な部分があるのですが、この「技」の最後のはねというか止めというか…一度では書けないので、二度目に本の少しの出っ張りを作ります。
見ているのと書くのではかなり違うので、実際に書いてみると慣れるまで難しい筆遣いに思えました。
さて、参加者の皆さんも早速練習開始です。外からは何をしているのかな?と
覗いていく通りすがりの方もちらほらと…。
基本的な線の練習をした後は、皆さんのお好きな文字を練習しました。案外画数の多い難しい文字を希望される方が多かったのですが、黒みと白みのバランスを考えながら書かれていたようです。
今回は、デザイナーの方が多かったこともあり、皆さん目が良いので、バランスを上手にとられていたようです。
寄席文字の特徴は、「筆太、右上がり、余白を少なく均等に、丸みを持たせる、かすれない」だそうです。縁起文字であるので、「筆太、余白が少ない=寄席にお客様が隙間なく大勢いらっしゃる。右上がり=興行が好評で益々良くなる。」というように、視覚的に面白いことと、裏側に込められる意味の深さ、粋なはからいがデザインされている表意文字ならではの興味深さがあるのですね…。
右門さんのはからいで、ワークショップの参加者には、それぞれの好きな一文字を書いたミニ色紙を右門さからお土産に頂けました!
それと受講終了ということで、嘉瑞工房で活版印刷で作ったcertificateも!
このワークショップには後日談があり…。
参加者のお一人から、せっかく知り合ったので、懇親会があればいいですね…と
おっしゃってくださいました。ご縁とは不思議なもので…右門さんをご紹介
くださったタイポディレクターの小林章さんが来日していたことも重なって、
それじゃあ、右門さん、小林さんを囲んで懇親会!…とあいなりました。
短い時間ではありましたは、文字もじ談義に花が咲き…御後が宜しいようで…。
チーム「寄席文字」はすごい?!
羽ペン工房 星 幸恵
寄席文字ワークショップのご案内
私達の周辺には様々な文字があり、果たしている役割も多様です。
日本の伝統を支える文字、江戸文字の一つに「寄席文字」が
ありますが、デザイン性が高く視覚的にも大変興味深いものです。
このたび、羽ペン工房では、寄席文字書家を講師としてお招きして、
歴史を伺い、道具に触れ、実際に文字を書くワークショップを開催致します。
日 時: 10月31日(日)13:00-16:00
場 所: 白山/ギャラリー・羽ペン工房(文京区向丘1-8-6)
講 師: 橘流寄席文字書家 橘右門氏
定 員: 6名
受 講 料: ¥5,000(資料代込み)
申 込 先: お名前(漢字とローマ字両方)、ご連絡先を
申込期限:10月15日まで(定員に達しました。)
講師プロフィール
橘右門
1955年 東京都板橋区生まれ(昭和30年12月)。
1978年 明治大学卒業。在学中落語研究会に所属し、寄席文字と出合う。
1980年 橘流寄席文字家元・橘右近の門を叩く。
1993年 橘流寄席文字伝承者として『橘右門』の名を許される。
2007年 文化庁より『平成19年度文化交流使』に指名される。
2008年 (財)板橋区文化・国際交流財団より『国際交流特別賞』受賞。
2008年 文化交流使しとして英国へ。
1年間ロンドンに滞在し、英国他、ドイツ、ハンガリーで
寄席文字を紹介する。
(東京都板橋区在住)
HP http://www.sam.hi-ho.ne.jp/umon/