ティモシー・ノード(Timothy Noad) 「カリグラフィーWS」2020

Timothy Noad Calligraphy Workshop「参加レポート」

●「Timothy Noad Calligraphy Workshop『参加レポート』の掲載にあたって」 久賀真弓
●『3days 紋章作成クラス/Heraldry』WSレポート 今野 志穂
●『日本の”紋”をベースに金と絵具で描くイルミネーション』WSレポート 本田純子
●『中世の動物寓話集のデザインを基に図案化して動物や花のイルミネーションにモダンな表現を加えて』WSレポート 紅林広子

●「Timothy Noad Calligraphy Workshop『参加レポート』の掲載にあたって」 久賀真弓


2023年4月、長い長い忍耐の時間を経て、Timothy Noad Calligraphy Workshopを開催することができました。当初2020年4月開催予定であったこのワークショップに関わる交渉を始めたのは2018年6月でした。コロナ禍への対応が変わり始め、来日に目途が立ち始めた矢先に、イギリスではエリザベス女王の崩御という世界的にも大きな出来事があり、2023年5月の、チャールズ国王の戴冠式に到る期間、アーティストとしてイギリス王室に関わる多くの仕事を担っているTimothy Noad氏にとっては、これまでにないほどの忙しさであったことは、容易に想像できます。その中で、時間を作り、日本へ来てくださったことに、感謝の気持ちでいっぱいです。帰国後、今もまだ、王室の世代交代に関わる仕事で忙しい日々を送られているようです。
紋章、装飾画、カリグラフィー、コインのデザインと多岐に渡って第一人者として活躍されているTimothy Noad氏に、直接、教示や手ほどきを受ける機会を頂けたことは、参加者の皆さんにとって、とても貴重な経験になったことと思います。また、待機期間に実施したウェビナーや、スライドレクチャーで見せていただいた画像も、彼にしか見せることのできない作品が溢れていました。高い技術と集中力で作品作りに取り組む姿と、普段のなかなかお茶目な一面とのギャップに魅力を感じた方も多かったのではないでしょうか。繰返しとなりますが、この貴重な機会を頂けたこと、3年の待機を経ても日程調整をしてご参加くださった受講者の皆さまの熱意に、心から感謝いたします。また、専門性が高く、言葉のひとつひとつの意味を取っていくことが難しい講座において、的確に参加者の皆さんに伝えてくださった通訳の朝倉紀子さんにも、感謝の意を表したいと存じます。本当に、ありがとうございました。
今回のワークショップには3つの講座がありました。その各講座の参加者の中から、お一人ずつに参加レポートを書いていただきました。各講座の様子を感じていただけましたら幸いです。

J-LAFワークショップ担当 久賀真弓

●『3days 紋章作成クラス/Heraldry』WSレポート 今野 志穂

私が紋章に興味を持ったのは、あるカリグラフィの資料を見たのがきっかけでした。
カリグラフィと紋章・装飾画は親和性が高く、資料や展示会で一緒に見かける機会が多くあります。道具や描き方、紋章のルールなど、何も知らなかったので、ただ憧れるばかりでした。
そんな中、イギリスより紋章制作・装飾画の第一人者であるTimothy Noad氏(以下、Tim先生)が講師として来られるというので、これを機会に少しでも知識を深めたいと思い参加しました。

WSでは、サポーター(盾などを支える構成要素のひとつ)1匹の紋章を作成。
まずは色についてレクチャーを受けました。紋章の色は6色。Tim先生は、色の特性や混色のポイントを一色ずつわかりやすく解説してくださりました。

つづいて、旗の図案を作成。
参加者は、薔薇と貝とアヤメからモチーフを選択。私は薔薇を選び、伝統的な紋章の形と実物の写真を参考に描きました。Tim先生は省略の仕方や紋章のルールなどを解説し、お手本としてモチーフを全て描いてくださりました。

極細筆で細い線を描く場面が何度もあり、私は手が震えて慣れるまで描けませんでした。先生はそんな私を見ていたのか、筆の使い方を何度も実践してくれました。おかげで実際に描く前と後の両方で確認しながら上達することができました。また、平塗りを失敗したときの修正の仕方も教えていただけました。

そしていよいよ、サポーターの作成へ。
テキストで配られた下絵(骨格)の紙がとても役に立ちました。魔法の紙かなと思うくらいすんなりと……とはいかず先生に加筆してもらいました。見たことがない想像上の生き物を描くのはやはり難しいのです。
旗の図柄を描いた時と同じく、馬の写真を参考にしました。下の写真は、左からテキストの下絵、次に加筆後、一番右が線を探りつつ筆で輪郭を描いたものです。

Tim先生は3種のサポーターも詳しい解説付きで描いてくださりました。
仕上げにサポーターの立つ丘とポールを作成。丘も何種類か描いてみせてくださりました。最後は、生徒のみなさんの作品を並べて鑑賞。同じものでも描き方、捉え方にもそれぞれ個性があり驚きました。

WSの期間は帰ってから家で作業し、次の日のレクチャーに間に合わせていました。なんとか最終日の夜には完成することができました。Tim先生には、正しくできているのかどうか不安なときも「Perfect!」と励ましてもらえました。何も知らないところからのスタートでも完成できたのは、先生の丁寧な指導のおかげです。

今回WSに参加して、全てが初めてのことで感心するばかりでしたが、「紋章は歴史があるものだが、伝統を大事にしつつ現代に合わせたデザインにしている」という話が印象に残りました。また、自然から発見したものを紋章に活かす手法も、とても素敵だなと感じました。私も今後の制作で試してみようと思います。

この三日間、複雑な工程や紋章のルールなどをTim先生は事細かに説明した上で、私たちがわからない事はすぐにお手本を見せてくださりました。時には猫の写真を見せて和ませてくれるなど、3日間という短い期間ではありましたが、かなり充実した先生の優しい人柄に溢れたWSでした。

ちなみに、Tim先生が必ずティータイムを取るのが印象的でした。お茶の本場イギリスから来てくださったのだなぁ、と実感しました。

Tim先生、J-LAFスタッフの皆様、お世話になりました。ありがとうございます。

●『日本の”紋”をベースに金と絵具で描くイルミネーション』WSレポート   本田純子

雲の上の存在、「憧れのティモシー・ノード氏に会える!」昂る気持ちを抑えながらの参加でした。
ティモシーは、数冊の日本の紋様についての専門書を携えていて、日本の家紋文化に親しみを持たれていることが伝わってくるレクチャーでした。実際、席に回って来た時にも、私の持参した家紋の一覧表を「これは面白い、これもこれも…」と目を輝かせて眺めていました。

WSは、ベースとなる家紋(紋)を選び、デザインを考える。紋には金箔を張る。紋に関連した植物や動物などを背景に加え作品を仕上げるといった内容で、作業工程は丁寧なデモンストレーションによって学びました。
作品作りの工程です。
サムネイルで試行錯誤してデザインを決定→実寸大の下絵に試し塗り→ デザインを作品用紙にトレース→ステンシルシートの作成→色付け→金箔張り(ギルディング)→背景の追加→完成

お手本のティモシーのデザインは、直径4センチの円の中に紋を入れ、その円の外側に四角形を2つ組み合わせたもので、大きさは10センチくらいでした。中心の円のすぐ外側の四角は、4辺が内側にやや湾曲し、頂点は鋭角な形でした。ここで大切なことは、紋とそれを囲む幾何学的形状や正方形は、コンパスや定規を使い正確に測って描くことでした。
この時のティモシーの実演は、緻密で目を見張るものがありました。
1日目は、決定したデザインを作品用紙にトレースしたところで終了。
1日目の宿題です!
ステンシルの要領で色付けをするため、ステンシルシートを各自作成してくることが宿題として課せられました。
その夜、宿泊先の暗い照明の下、失敗しないようシート作りに奮闘したことは、忘れられない思い出となりました。

寝不足なんて何のそのの2日目。
いよいよ、ステンシルシートを使い、ガッシュを染み込ませたスポンジで作品に色を乗せていきます。
前日の実演の様子は、ティモシーの色への拘りで何度もテストを重ねたものだったので、この作業は思いのほか緊張しました。ティモシーの使っていた年季の入ったスポンジも、目に焼き付いています。
下は教壇の写真で、そのスポンジが右上に写っています。

ティモシーが、私のスポンジを手に取って「こんなスポンジもあるんだね」と話しかけて、緊張をほぐしてくれた場面です。とても感謝でした。

今回、ギルディングはステンシル後の工程でした。
色付け部分の中に細かいギルディングを施したい場合は、その部分をマスキング液でカバーをしてから、ステンシルをする方法を教えてもらいました。
私は作業を焦って、マスキング液が完全に乾かないうちに無理やり紙から剥がしたため、接触した色付け部分の紙まで一緒に剥がしてしまいました。ティモシーから『やり直し』を促され、泣き泣きやり直したものの、2回目も上手く剥がれませんでした。マスキング液の濃度も関係したかもしれません。しかし、そんな時の紙の表面を整える補修方法も教えてもらう事が出来ました。
私のデザインは、木瓜紋と鳥の朱鷺(トキ)の組み合わせでした。木瓜紋は、楕円を使った紋です。
ティモシーの教えからすると、正確な楕円を描くためには、糸もしくは製図用楕円テンプレートが必要でしたが、準備不足のためフリーハンドで楕円を描いてしまいました。楕円の中にトキの横姿を入れたいと、ティモシーに伝えると、「目的のデザインとは違うが、それも良いでしょう。やってみて下さい」と言ってくれたので、木瓜の特徴的な部分は楕円の外側に出してデザインをしたのでした。

鳥をきちんと描いたこともない私がどうやって鳥を描くのか…。今思えば、全くの無謀でした。
トキの羽の色についてアドバイスを求めたところ、ティモシーが「私がトキを描きましょうか?」と言ってくれて、なんと!好きな鳥をティモシーが描いてくれるという夢のようなことが起こったのでした。
ティモシーは、トキの写真を参考に、混色したグレーで、スポンジで白く塗られた土台に、羽の質感を迷いのない筆使いで描き始めました。みるみる羽が表現され、息づかいが聞こえるかの様なふっくらとした体の丸みが浮き上がりました。長い口ばしは白いハイライトを2本、すっと滑らかに描き、白目を『シェルゴールド』を使って塗り、黒目と輝きの白い点をトンと入れると、あっという間に見事なトキを完成させました。
それは、トキに生命が宿った瞬間でもあったので、感動的でした。

そして、ティモシーの人柄にも触れさせて下さい。
覗き見をした昼食のメニューから察すると、健康志向。でも、甘い物好き!
日本で気に入った桜餅を、受講生へも振る舞ってくれました。格別な桜餅の味でした。イギリス土産のイースターのうさぎチョコレートは、食べるのが勿体無いくらいの可愛いパッケージでした。ご馳走様でした。
ティモシー・ノード氏。雲の上の人は、容姿や言葉からも人情味あふれる人物で、こういう人だからこそ素晴らしい作品が生まれるのだと実感しました。ありがとうございました。
最後になりましたが、この様なWSを企画して下さったJ-LAFスタッフの皆様、大変お世話になりました。

●『中世の動物寓話集のデザインを基に図案化して動物や花のイルミネーションにモダンな表現を加えて』WSレポート 紅林広子

写本装飾を受講するにあたって、初めて購入した本がティモシー・ノードさんの「ILLUMINATED ALPHABET」でした。今回、日本でティモシー・ノードさんのワークショップが開催されるとのことで、これはどうしても受講したいと思いました。予定していた3年前はコロナ禍で延期となってしまいましたが、3年越しに開催されることになり、念願叶って受講することができました。
大阪ワークショップは「中世の動物寓話集のデザインを基に図案化した動物や花のイルミネーションにモダンな表現を加えて」というもの。
2日間のワークショップ1日目は、自分が選んだ動物や鳥にフレームを加えて図案化するところまで。
まずはレイアウトペーパーに動物や鳥を小さくスケッチし、周りに円やひし形などのフレームを合わせます。デザインが決まったらカートリッジペーパーに大きく丁寧に描き、色を塗っていきます。清書する紙に描く前段階で色を塗るとは思っていなかったのでびっくりしましたが、この段階で色を塗ると完成図が見えてくるので、とても重要な工程だということがわかりました。一つ一つの工程で、ティモシー・ノードさんが実際に描いているところを見せてくれたので、とてもわかりやすかったです。
私が題材に選んだのは、自分が住む静岡県の県鳥である「三光鳥」。くちばしと目の周りが鮮やかなコバルトブルーで、オスなら30センチもある長い尾が特徴。鳴き声が「ツキ(月)、ヒ(日)、ホシ(星)ホイホイホイ」と聞こえることから、三つの光「三光鳥」と名づけられたというエピソードも好きです。

今まで鳥をスケッチすることがなかったので、全ての工程が不安でしたが、ティモシー・ノードさんが席を回って一人ひとりにアドバイスしてくれたので、なんとか図案ができました。できた図案を清書する紙に写して1日目が終了。
2日目は金箔貼り(ギルディング)から仕上げまで。
金箔をフラットに貼るか盛り上げるのかによって使う糊が違うこと、金箔を貼ったあとの磨きかたも糊によって違うこと、それぞれの磨き方などとても勉強になりました。金箔が綺麗に貼れるかどうかは糊の塗り方で決まると言っても過言ではないと思っていましたが、今回、ティモシー・ノードさんがどのように糊を塗っていくのかを間近で見て、早いのに丁寧に塗っているということがよくわかりました。
金箔を貼ったあとは色を塗っていきますが、「鳥の羽根をどのように塗ったらいいのか」「写実的か図案化するのか」「図案化するならどうやって」と悩んでいたら、ティモシー・ノードさんが図案化の方法を実際にスケッチして教えてくれました。
私はあまり作業が早くないので、2日間では仕上げまでできませんでしたが、終わってから復習しながら仕上げてみました。

左は羽根の部分を図案化したもの、右は全てを写実的に塗ったものです。
ギルディング糊は左がミニアタムインクで、右がワンダサイズ。
今回のワークショップはとても貴重な経験となりました。今回学んだことを今後の作品づくりに活かしていきたいと思います。
このような企画運営をしてくださったスタッフの方々に、心より感謝いたします。

 


ウェビナー「Herald Painter and Scrivener (紋章画家と写字者)」開催のお知らせ 2021.07.11

『ティモシー・ノード:ウェビナー「Herald Painter and Scrivener (紋章画家と写字者)」開催のお知らせ』をNewsのページにアップしました。


ワークショップ 開催延期 2020.03.01

2020年4月に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で、開催を延期させていただきました。日英間の渡航制限の解除や就労VISAの申請の再手続き、講師の希望等も含めて現状の推移を見守りつつ、2021年3月の開催を目途に検討を進めています。
再開催日程については、確認が進みましたら改めてごご報告いたします。


詳細・申込み要項のご案内 2019.11.10

『ティモシー・ノード「カリグラフィーWS」2020 詳細・申込み要項のご案内』をNewsのページにアップしました。


開催のご案内 2019.10.1

2020年4月に、イギリスよりティモシー・ノード氏を講師に迎え、ワークショップを開催いたします。初来日です。

ティモシー・ノード氏は、カリグラフィーへの造詣もさることながら、紋章制作、装飾芸術や細密画制作における現代の第一人者であり、王室認可証書や記念コインのデザイン・作成など、英国王室の公的業務にも多く携わっているアーティストです。英国王立造幣局(The Royal Mint)が2018年に発行した王室4世代のイニシャルを刻んだ記念コイン(5ポンド)は、彼のデザインによるものです。彼の芸術家としてのフィールドは多岐に渡っています。
また、近年、彼のイルミネーションの表現は植物や動物のモチーフに留まらず、イスラミックな表現の世界へも幅を広げています。
多岐に渡る作品を、彼のウェブサイトにてご覧ください。
https://www.timothynoad.com/

今回は、東京で2コース(3日コースと2日コース)、大阪で1コース(2日コース)、合計3講座とスライドレクチャーを各1回ずつ開催いたします。ワークショップ3講座は全て内容が異なります。

■東京開催ワークショップ
1) Heraldry (紋章作成クラス)
2) Illuminated Design based on a Japanese “mon”, in gold and colours
(日本の”紋”をベースに金と絵具で描くイルミネーション)
※東京開催の1) Heraldryのみ3日クラスです。

■大阪ワークショップ
3) An Illumination based on a stylised animal or flower inspired by design in medieval bestiary manuscripts but in a more modern style
(中世の動物寓話集のデザインを基に図案化した動物や花のイルミネーションにモダンな表現を加えて)

■スライドレクチャー(東京・大阪)
タイトル: Herald Painter and Scrivener (紋章画家と写字者)
ティモシー・ノード氏の経歴を彩る作品の数々を画像で見ながら、その作品にまつわるストーリーを聞かせていただきます。

※東京・大阪の両会場ともに、同じ内容で開催いたします。

講座内容及び募集の詳細等については、11月初旬にウェブサイトでお知らせする予定です。

ワークショップ担当: 久賀 真弓

<講師プロフィール>
Timothy Noad (ティモシー・ノード)
カリグラファー、写本装飾画家、コイン・メダルデザイナー
SSI(Society of Scribes and Illuminators)フェロー会員
CLAS(the Calligraphy and Lettering Arts Society)名誉会員
Letter Exchange正会員
(いずれもイギリスのカリグラフィー団体)

ロンドン西部、ミドルセックス在住。牛革のヴェラムにフォーマルなカリグラフィーと装飾を施した書面や贈呈・授与を目的とした巻物の制作を専門としている。
プロのカリグラファー、装飾美術・紋章美術のアーティストとしてのキャリアは30年以上に渡る。伝統的技術、現代的技術、双方に対する深い知識と、紋章、象徴主義、歴史的背景や自然史への深い理解に基づいて使う素材の組合せがもたらす、彼の優雅で緻密な作品は、世界的に高い評価を受けている。

1986年にThe East Surry College(Reigate School of Art and Design)を卒業後、ロンドンにあるCollege of Arms(英国紋章院)に紋章作家・カリグラファーとして勤務。公的な紋章や家系図の制作、様々な顧客の様々な目的に合わせた紋章のデザインに携わっている。紋章院のウェブサイトでは、しばしば、彼の作品が画像で掲載されている。また、彼はHM Crown Office at the House of Lords(英国貴族院・大法官庁 国璽部)においても、カリグラファー・装飾芸術家として、多くの重要な特許文章の発行に携わっており、それらの中には、エリザベス女王陛下の名の下に発行される装飾を施した勅許や貴族院・最高裁判所が発行する任命書などがあるが、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚承諾書も彼の手による。

彼の歴史に対する探究心によって、Birkbeck, University of London(ロンドン大学バークベックカレッジ)での修学、及び、Courtauld Institute(コートールド美術研究所)における15世紀からの絵画と写本装飾の研究による修士号取得に到った。そこで得た知識により、歴史的な写本や装飾画の再現・複製にも取組む。その活動がテレビ番組となったことがある。

また、英国王立造幣局(The Royal Mint)が発行するコインやメダルのデザインにおいても功績を上げている。1ポンドコインのデザイン、エリザベス女王の即位50周年記念、60周年記念のメダル、英国王室4世代のイニシャルを刻んだ記念コイン(5ポンド)などのデザインを担当。

彼の作品の多くは、エリザベス女王をはじめとする王室の方々や著名な人々及び団体からの依頼によるものである。最近では、ウェストミンスター大修道院、クライスト・チャーチ、オックスフォード、イートンカレッジ、ロンドンの同業組合、サザビーズ、ヒ ストリックハウス協会などから。また、彼の作品の一部はロイヤルコレクション、ビクトリア&アルバート美術館、ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館に所蔵されている。リッチフィールド教会、ゴールド・スミス・ホールやテート・ブリテンなどで展示されたものもある。

著書:
The Art of Illuminated Letters (with Patricia Seligman 1994)
The Illuminated Alphabet; Mastering Calligraphy (1996)

講師ウェブサイト:https://www.timothynoad.com/