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バザーが開催されます

J-LAFバザーが開催されます

J-LAF(Japan Letter Arts Forum )では、7月2日〜14日に「日本・ベルギーレターアーツ展」を開催致します。
この展覧会は、カリグラフィーだけではなく、文字芸術全般まで及ぶ画期的な作品展です。

この展覧会を成功させるために、皆様からのご寄付を募り、運営資金の一部とさせて頂きたく、 この度バザーを下記の通り企画致しました。皆さまのご賛同・ご協力を頂けましたら幸いです。
当日のご来店、並びに販売提供品を心よりお待ちしております。

日   時:2009年4月3日(金)~4月5日(日)3日間
     11:00~19:00(最終日は16:00まで)
場   所:ギャラリー・羽ペン工房
販 売 品:カリグラフィー、クラフト、アート関係品、画材、書籍等

販売提供品のお申込み受付: 
3月25日(水)までにお名前と連絡先を下記アドレスまでお知らせください。
バザー窓口   bazaar@j-laf.org
提供品の送付先:〒113-0023 東京都文京区向丘1-8-6
        ギャラリ—・羽ペン工房 TEL&FAX 03-3812-3209
提供品到着日:4月1日(水)午前必着

販売対象品
・カリグラフィー・クラフト関連の本、道具、雑貨、額、マット、画材など
・自分で使っていて便利な道具
(本来ちがう使用目的のものでも、こうして使うと便利!という紹介とともに)
・紙類、布類
・「カードの作り方」を材料とともに(カード キット)
・手持ちのカード類(手作り品、市販品)
・その他、カリグラフィー、アート、クラフトの物ならなんでも

お願い
・販売品の値段は事前につけてください。
・食品は扱いません。
・最終的にはスタッフの判断で売値を下げて売り切ることをご了承ください。
・残った品についての返却は原則的に行いません。
(どうしても、という方は最終日の午後4時にギャラリーに取りにきていただきます様お願い致します。)
・カード類が残った場合はJ-LAF寄付カードとして取り扱わせていただきます。

お問い合わせ先  bazaar@j-laf.org 北見

河南美和子「写本装飾と本格的ギルディング技法WS」

J-LAF主催「写本装飾と本格的ギルディング技法」のワークショップが名古屋で開催されました。名古屋に河南美和子さんをお迎えして、2日間かけギルディング技法を、じっくり体験しました。

IMG_16081日目には、羊皮紙の説明やトレースのしかた、GESSOの塗り方、そして、昔ながらの方法でGESSOを手作りしました。
GESSOをつくるのには、4時間ぐらいかかり、その手間に驚きました。参加者全員で、乳鉢ですり、マーラーですり、とにかく粒子を細かくする作業が続きます。その甲斐あり、粒子の細かい、とてもよいGESSOが出来上がりました。このGESSOを一晩寝かせ、塗ってくるのが宿題。
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2日目は、GESSOに金箔を貼り、彩色を施していきました。GESSOを磨き、金箔を貼り、また磨く。
そして、彩色。とにかく、根気と忍耐の細かい作業が続き、みな寡黙に黙々と作業をこなしていきます。
しかし、ピカピカに光ったギルディングが出来上がり、美しい彩色が施されるころには、みなの顔に笑顔が広がっていきました。

ギルディングというのは、職人仕事だということを実感した2日間だったと思います。
また、現代とちがい、中世のゆったりした時間の流れを感じた2日間でもありました。
静かなWSでしたが、とてもよい雰囲気の中終了することができました。
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► 開催概要/日程/募集要項

定期作品展「Letter Arts Exhibition, Winter」2009

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J-LAF主催:定期作品展「Letter Arts Exhibition, Winter 2009」が無事終了しました。
J-LAF Letter Arts Exhibition Winter 2009 は無事に終了いたしました。
会場に足をお運びくださった皆様、ありがとうございました。

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今回は、夏・秋・冬と開催して参りました定期展でもっとも多い14点の作品が出展され、充実した展示となりました。
また、初めて立体作品が出展され、変化に富んだ内容となりました。

今回の出展者(14名)
上野眞由美、深谷友紀子、岡本紀子、三戸美奈子、伊藤久美子、和田祐子、山田淳子、北見都、佐分利史子、浅岡千里、星幸恵、河南美和子、清水裕子、米谷明香

次回 Spring 2009 作品展は 2009年4月20日(月)〜4月26日(日)に開催予定です。

▶J-LAF Letter Arts Exhibition Winter 2009開催日程/概要

岡本紀子「羽ペン作りWS」2009

h2羽ペン作りのWSも3回目を迎えました。
6名の参加者に加えて今回は、「欧文書体」「欧文書体2」の著者小林章氏と勘亭流歌舞伎文字書家の川田真壽さんが飛び入り参加となり賑やかなWSになりました。

講師の岡本さんから羽ペンについての説明を受けながらWSは進みます。皆さん、本当の羽ペンを使用される機会は無いご様子なので、楽しみにして頂いていたようです。

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皆さんに羽を選んで頂いて、羽を固くして準備完了です。最初にスリットを入れていきます。何だかおっかなびっくり…初めての作業ですものね…。

その後、岡本さんの説明に従ってペン先を作っていくのです。
ペン先の形の要、スクープをカットしていきます。
一度では無理なので慎重に何度かナイフを入れていきます。

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だんだんペン先に形になっていきます。

もちろん自然の素材なので、みんな同じ条件ではありませんが、それも経験…。

少し不安な部分は岡本さんが丁寧に指導
してくれますのでご安心を…。美しく繊細なペン先が出来上がっていきます。
試し書きをしてインクの出具合いやら書き心地をチェックします。ここでうまくいかない場合は
どういう状態か見極めていきます。
羽ペンは削り直しもできるので、自分で調整できるところが素晴らしいです。

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これは少しペン先が割れてしまってる?
スクロールペンのようです…。

原因はさまざま…。
こういう調子を観察してペンを完成させて
いきます。



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初めてペンを握る方にも説明中…。大丈夫です。書けますから・・・。

小林さんが書いてるシーン…これは貴重な画像ですね。

また新しい出会いがあり、文字を愛する人たちの交流が生まれました。嬉しいですね。
またいろんな企画を考えてます。

羽ペン工房スタッフ 星 幸恵 2009/04/18 up  

開催概要

昔々、ヨーロッパの人々は文字を書くための道具に本物の鳥の羽(羽ペン)を
使っていました。
羽ペンは、どうやって作られるのでしょうか?本当に書けるのでしょうか?
このワークショップでは、羽ペンの歴史に触れながら、自分の手で一本の羽から羽ペンを
作ります。また、どんな書き心地なのか実際に書いてその感触を楽しんで頂きます。

講   師: 岡本 紀子(カリグラファー)
期   日: ① 3月10日(火) ② 4月15日(水)
時   間: 10:00~13:00
場   所: 白山/ギャラリー・羽ペン工房
    文京区向丘1-8-6(スタジオ・アート&クラフトの1F)
定   員: 6名
受講料: ¥4,500 (資料代、材料費/羽1本含む 込み)
申込期限: ① 3月3日まで ② 4月7日まで

q0824-thumb-190x301プロフィール
1997年よりカリグラフィーを学ぶ。
1998~2004年まで英国ロンドンに在住し、ローハンプトン大学で学ぶ機会を得る。
現在は三戸美奈子氏、白谷泉氏等のもとで学びながら、海外カリグラファーの
ワークショップにも積極的に参加している。
East Writes West ブリュージュ展に作品を出展。

定期作品展「Letter Arts Exhibition, Winter 2009」スタート

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・ 開催日: 2009年1月26日(月)〜2月1日(日)
・ 時間: 11:00〜19:00(最終日は〜17:00まで)
・ 会場 : ギャラリー・羽ペン工房
・ タイトル: Letter Arts Exhibition, Winter 2009
・ 内容:

Letter Arts Exhibition, Winter 2009は、2008年夏〜2009年春の1年間、計4回開催のどなたでも参加できる展覧会として企画された定期展覧会の第3回目です。この展覧会が、カ リグラファー同士が交流出来る場となり、また、アートとしてのカリグラフィーを一般の方々へ広く紹介できる機会となれば幸いです。

額装、立体を含むアーティスト14名による質の高いカリグラフィー作品を、どうぞゆっくりとご鑑賞下さい。
皆様のお越しを、心よりお待ちしております。

「Christmas+Christmas」2008

J-LAF  Christmas+Christmas

・ 開催日: 2008年11月24日(月)〜11月30日(日)

・ 時間: 11:00〜19:00(最終日は〜17:00まで)

・ 会場 : ギャラリー・羽ペン工房
     〒113-0023 東京都文京区向丘1-8-6 Tel. 03-3812-3209
     地下鉄都営三田線白山駅A1出口より徒歩6分
     東京メトロ南北線東大前駅または本駒込駅より徒歩8分

・ タイトル:J-LAF Christmas+Christmas

・ 内容: 手作りが楽しい冬がやってきます!「今年もよいクリスマスを」の気持ちをこめてJ-LAFが、クリスマスにちなんだ額装、カード、雑貨を中心に展示・販売の展覧会を開催致します。この展示販売展覧会は、どなたでも出展出来ます。あなたも羽ペン工房での販売に参加してみませんか?
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*出展お申込みは 11月22日(土)まで。詳細はお申込み要項をご覧ください。
2008Christmasお申し込み要項(PDF)

河南美和子「写本装飾と本格的ギルディング技法WS」開催

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写本装飾と本格的ギルディング技法ワークショップ

開催日
2009年2月1日(日)& 2月8日(日)10:30~16:30(2日間)
講師
河南美和子(かわみなみ みわこ)
場所
愛知県勤労会館 第1講習室 http://www.ailabor.or.jp/tmplaza/
受講料
16,000円(別に材料費がかかります)
定員
15名
申込期間
2008年11月29日(土)〜12月13日(土)
(11/29以前のお申し込みはお受け出来ません)
申込先
件名を「ギルディングWS申込」とし、氏名、連絡先を、event マル 
j-laf.org までご連絡ください。
※  マル を@に変換してください。

※空席がある場合は12月13日以降も受付けます。申込者が定員を超えた場合は抽選となります。ご了承下さい。
・ 講師プロフィール
写本装飾の美しい世界に魅了され、伝統的なヨーロッパの装飾手法を修得。さらに細密なイスラム装飾も学んでいる。現在、日本カリグラフィースクールをはじめ、都内カルチャーセンターなどで教室を持ちatelier Moon Shellを主催する。
また、紙に書くカリグラフィーだけでなく、木やコルクに描くウッドバーニングカリグラフィーも開発時から手がけている。
ウェブサイトhttp://www.bba.ne.jp/moonshell/

メールアドレス moonshell@/bba.ne.jp

八木健治「羊皮紙 WS」

11月16日に羽ペン工房で羊皮紙を作るWSを開催致しました。
今や本場欧米でもその作業は限られています。
こんな貴重な機会を講師の八木さんが与えてくださいました。

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こんな素晴らしい資料を用意してくださいました。
羽ペン工房のロゴマークも入ってます。
それと道具は全て八木さんの手作り…感動です!
八木さんが訪れたイスラエルの工房の様子は、画像で紹介くださいました。

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八木さんが用意してくださった羊皮紙を伸ばす作業開始です。
実際の工房では、動物一頭分が伸ばされるということで、
もっと大きな枠を使うのですが、このWSではこんなコンパクトな枠を使いました。
皮を留める道具も全てお手製なんです。
イスラエルでは、木片が固定の道具に使われるそうです。
イギリスでは丸い石のようなものだそうですよ。
ちゃんと固定しないと、伸ばす間に留めが外れてしまうので
慎重に作業を進めます。


この日はあいにくの雨…。時間内に乾燥したいところでしたが、
実際には上手くいきませんでした。
熱をかけて無理に乾燥させるのは皮に良くないということで、参加者の方には
後日郵送することとしました。
自然のものを扱うということは難しいですね。いろいろと勉強になります。

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皮を乾かしている間に、八木さんが別途用意してくださった羊皮紙に試し書きを
しました。もちろん使用するのは羽ペン工房スタッフOさんがカットしてくれた
クイルです。
さてさて、どんな書き心地なんでしょうか…。

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さて、インクですが、これも八木さん製造!
中世の頃と同じように没食子インクを使用しました。
没食子インクは、樹木に寄生した虫が作る虫コブから作るのですが、
容器に入った生姜みたいなのがそれです。タンニンの成分が皮への定着を良く
するようで、紙への影響とはまた別なのだそうです。
インクは水牛の角をくり抜いた中へ…。写本の絵にも修道士が角を片手に
持って書いている姿を見ることがありますね。
このインクの特徴ですが、書きはじめは、とても薄い茶色です。
ところが書いているうちに、空気に触れてどんどん黒くなっていきます。
何だかマジックを見ているような感覚になりますね…。

みなさん楽しそうに試し書きをされていました。

12皮は、自然乾燥をするために机の上に並べられました。乾いているようでも、
表面をはじくと鈍い音しかしません。完全に乾くとはじく音は太鼓のような音に
なるそうです。
実際、二日後にたたいてみると、本当に太鼓の音がしました。

このほか、八木さんの作った羊皮紙の写本や、貴重な資料をたくさん見せて頂きました。
粘土に彫った文字に始まり、パピルスへ移行し、その後私達の知っている羊皮紙の
少し前に使われていた皮の様子も教えて頂きました。

3時間という短い時間ではありましたが、八木さんが用意してくださったWSは
内容が豪華でお腹いっぱい!
本当に楽しいものでした。これからもこのWSは再度企画したいと思っています。

八木さん、本当にありがとうございました。

羽ペン工房スタッフ 星

「羊皮紙ワークショップ」募集要項

Lecture/Workshop/Exhibition 2008/10/16

古くから写本等の素材として扱われ、歴史を支えてきた羊皮紙。
日頃身近に手に取る機会の少ない羊皮紙を実際に作ってみませんか?

この度、羽ペン工房では、工房の象徴『羽ペン』とは切っても切れない間柄の『羊皮紙』を自ら製作されている八木健治氏を講師にお招きして羊皮紙に関するワークショップを開催致します。
羊皮紙について、その歴史や作り方をご講義頂き、受講者の皆様には小さい羊皮片を使って羊皮紙を作製、工房の用意した羽ペンで筆写もして頂く予定です。

≪WSの内容≫
●羊皮紙写本の説明と作り方説明
●羊皮を使用して製造体験前半(濡れ皮の張りつけ)
●乾かしている間に小さい羊皮紙片に筆写体験
●製造体験後半(乾燥後の磨き)
●羊皮紙の保管などについての説明

日 時: 11月16日(日) 10:00~13:00
場 所: 白山/ギャラリー・羽ペン工房 (文京区向丘1-8-6)
定 員: 6名
受講料: ¥5,000(資料代込み) 別途材料費¥500
申込期限: 11月5日まで (定員になりしだい締め切らせていただきます。)

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≪八木健治氏プロフィール≫
翻 訳者として仕事をしながら、「文書」のルーツを探っていくうちに長い間人間の歴史を支えてきた素材「羊皮紙」と出会う。羊皮紙の「深み」と「あたたかさ」 に惹かれ、その起源や作り方などを調査、自宅にて原皮から羊皮紙の加工を始める。「羊皮紙のことならなんでもわかる」場を目指し、2008年初めにウェブ サイト「羊皮紙工房」を立ち上げ。
また、昔の羊皮紙文書の収集・解析を通して、時代や地域・用途による製法の違いを研究。2008年夏にはイスラエルの羊皮紙工場にて製造技術、バーレーンの博物館にて修復技術の説明を受ける。「羊皮紙」という素晴らしい素材をできるだけ多くの人に知ってもらいたいという思いで活動中。

羊皮紙工房ホームページ http://www.youhishi.com

WOR(L)DS プロジェクト レポート〈Beach Calligraphy〉

Beach Calligraphy

Andrew van der Merwe

WOR(L)DS概要
ストーン・カーバー(stone-carver) Maud Bekaertが提唱者であるこのカリグラフィープロジェクトは、様々な要素から成り立っていますが、中でも一番重要なのは、南アフリカ人がデザインしてベルギー人が彫った石の数々で、これらの石は、9月28日に開催されたオークションで競売され、その収益は、同国内のAIDS感染で孤児となった子供達への寄付金として、Breadline AfricaとSprinkle,両団体に贈られました。オークションは大成功で、61,250ユーロ(約860万円)の金額となりました。SprinkleはChantal de Maeyerの指揮のもと、渇望されている孤児院施設をDrakensberg地域に建築中で、Breadlineは既にいくつかの孤児院を運営しています。Cape Friends of CalligraphyとBreadlineのメンバーであるBev Gillespieは、このイベントのコーディネートや基金分配に関して中核的存在で活躍してきた人物で、援助の手を差し伸べることになった孤児院の幾つかにMaudを紹介したのも彼女でした。その他に、WOR(L)DSイベントには、MannaとSymposionで開催された、南アフリカ在住カリグラフィーの手による作品展示会と、ビーチ・カリグラフィーのショーが含まれます。ビーチ・カリグラフィーのイベントは、WOR(L)DSへの関心を促すことと、上で述べた基金集めの後押しを目的としたものです。ここに記すのは、ビーチ・カリグラフィー概要とともに、私が実践した初の大きなイベントの結果をお知らせする、私の個人的なレポートです。
ストーンオークションの模様はこちらから(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=mxr9RkVRJJA
http://www.youtube.com/watch?v=wn5VfmjCYQw

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ビーチ・カリグラフィーの背景

私は南アフリカ・ケープタウンで、15年ほどフリーランスでプロのカリグラファーをしています。(詳細は次をご参照下さい:http://www.writtenword.co.za/home_about.htm )サーフィンもする私にとって、砂浜に文字を書くのは楽しみの一つです。しかし、棒でひっかいて砂に文字を書くと、あとに残るのは文字よりもゴチャゴチャになった砂浜だけで満足がいきません。そこで、過去七年間に渡って、砂を乱さない様々な道具を試行錯誤でトライした結果、石に文字を彫るようにきれいな「V」型の跡を残せるスコップのような道具を考案しました。私のこうした何気ない砂の落書きは、Cape Friends of Calligraphyで私が開いたワークショップを、2004年に地元の大手テレビ局や全国TVネットワークが放映してくれたおかげで名があがり、好奇心と熱意が混ざった反応をもらうことができました。その後、私はビーチ・カリグラフィーに以前より真剣に取り組むようになり、さらに新しい道具を開発し始めたというわけです。
ベルギーのストーン・カーバーMaud Bekaertが2005年、バカンスで南アフリカを訪れていた際、インターネットを通じて私に連絡をしてくれたのが、次のきっかけでした。ケープ半島の界隈に彼女をお連れした際、私達は、ビーチ・カリグラフィーをするために砂浜に足を運びました。それを見てとても感動した彼女は、ベルギーに私を呼んでビーチ・カリグラフィーを披露するアイデアを考え始めました。この時点で私はまだ、自分が砂浜に書いたものを携帯カメラで撮っていたのです!
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2006年8月、私は、二日間ブルージュに招待をうけて、ブルージュ市の推進団体Brugge Plusを始め、同市の文化団体にたずさわる諸氏にお目にかかりました。その間にビーチでのご披露を企画した結果、ビーチ・カリグラフィー・イベントの青信号を頂戴することとなりました。明らかに、誰もこのようなカリグラフィーを見たことがなかった様です。
Maudの尽力のおかげで、その後の二年間に様々な出来事があり、2008年の7月、私は再びブルージュに飛び、一ヶ月そこに腰をおろして、ビーチに文字を書くことになりました。WOR(L)DSイベントのビーチ企画は、ビーチに張ったテントにおける小規模な集いの席で、ブルージュ市長Patrick Moenaert氏の発声によってスタートしましたが(写真はこちらをご覧下さいhttp://tinyurl.com/6f9nbm )、市長のスピーチの後50人余りの参加者が、私が砂浜に書いておいた文字を見に歩いて来るまでに、文字は満ち潮で流されていました!そこで、見に来て下さった皆さんやメディアの方々のために、ドロドロのぬかるみと化して貝殻があちこちに散らばるビーチに、文字を書いてご披露せねばならぬこととなりました。ともかくも、驚いたことに、それでも皆さんには喜んでいただけたのです(私が誤って市長の靴に泥を飛ばしてしまったあとも!)が、この困難は、私にとってここでの滞在期間前半の気分を決定づけることとなりました。自分では満足のいく仕事ができないまま、展示用作品の作成に努めたのですが、周囲の皆さんの熱意には、冷めるきざしが見られませんでした。
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このような試みは、世界で初めての企画と言えるのかもしれません。反面、初めてであるからこその様々な深刻な問題にも直面しました。ビーチで書くため、決められた一画(30 m x 300 mの広さ)に来てみたところ、その場所の砂のほとんどは、私が文字を書けるような砂ではありませんでした!乾いて貝殻だらけで、事務所や観客用デッキ建設用の輸送コンテナーを設置した車輌タイヤの跡があちこちに付いており、そればかりか、観客用デッキは大潮高水位標より低い所に設置されていました。文字の書ける砂があるのは、遙か先の水位標より低い所だけで、毎日書いてもすぐに波で流されてしまう上に、天気の悪い日が続いて、休むことなく降る雨に加えて強い風がたびたび吹き、書き終わる前に文字は消えてしまったのです。
一生懸命に書きながら、私の心は沈むばかりで、家族が恋しくなってしまいました!そんなときに私の気持ちを救ってくれたのは、ものの儚い性を説く「vergankelijkeid」というフラマン語表現でした。この言葉は私のモットーになり、私は、砂に描いた小さな花の周りに「vergankelijkeid - onvergetelijkeid」という文字を書きました。(onvergetelijkeid=忘れがたい)
ともかくも、海から吹く風が運んできた細かい砂が、会場入り口あたりに積まれたコンテナーの周りに砂丘を作り、水の補給装置を備え付けたあとは、この砂丘を湿らせることができ、作業がうまくいきました。

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ビーチで過ごした時間の半分は、ベルギーでよく知られた詩人David van Reybrouckが、このイベントのために特別に記して下さった、海をテーマにしたとても素晴らしい詩を彫りました。 この詩は、入り口近くの一番目立つあたりに書いたのですが、ようやく天気が回復した最後の二週間は、三日間ほど消えることなく残っていました。
残りの半分の時間、私は人の名前やイベント企画のスポンサー名を彫り、それから得られた収益は、Sprinkle とBreadline Africaに贈られました。この間に、なんと300人余りの人たちの名前やリクエストを受けた文字を書きました!それを全て高水位標より低い場所でしたのです。そして、ほとんど毎日、夜と早朝の時間は、撮影した写真の作業に費やしました。
ベルギーの人たちはユーモアたっぷりで面白く、私が砂に文字を書くのを見に来たり、書いてもらった自分達の名前と一緒に写真撮影をしたりする人たちと、とても楽しい時間を過ごしました。満足のいく写真も何枚か撮れました。このことと、とても美味しいベルギー産のビールを賞味できたことが、ブルージュ滞在中の最も楽しい経験でした。

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ここからは何処へ?

このイベントは私にとって命綱となりました。南アフリカでプロのカリグラファーとして生活していくのは並大抵のことではありません。あきらめようと思ったことも何度かあります。そんな中、このイベントは私の励みになりました。Brugger Plusの後援で充分な資金調達をいただいたおかげで、家族の生計をたてる本業のカリグラフィー事業をしばらく休んで、ベルギーに行って、時間をかけてビーチ・カリグラフィー技能を次のレベルに進めることができ、また、必要な写真撮影機材を入手することも可能となりました。
私のビーチ・カリグラフィーにおける将来の短期目標は、グリーティングカードのプリントと販売開始、ウェブサイト(www.beachcalligraphy.com )の構築、そして私の見いだしたものがシェアできるように、世界中の興味を持ってくれるカリグラフィー団体にワークショップをオファーすることです。私が考案した道具類の大量生産の手段も探している最中です。また、WOR(L)DSプロジェクトを通じて、興味を持った南アフリカ難民数名に、ビーチ・カリグラフィーを教え始めています。

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世界各地でのWOR(L)DSのインパクト

ここでは主にビーチ・カリグラフィーについて述べました。このトピックは、カリグラファーの方々にとっては、興味の持てるものかもしれませんが、AIDSのせいで孤児となった、数多くの南アフリカの子供たちの生死を争う人生物語には比べものになりません。この子たちのために、こうしたイベントは、機会があれば是非また催したいと思いますが、WOR(L)DSに関して、もう一つ言いたい大切なことがあります。このプロジェクトは、南アフリカのカリグラフィー界が必要とする独自の声、つまり南アフリカ独自のスタイルを探し始める媒介となり、また、私たちの社会的な幅を広げてくれました。このことは、アパルトヘイトのせいで戦争間際まで緊張が増していた様々な人種間のハーモニーを見つけ出すことが、国家としての運命を左右するこの国の、無くてはならない課題でもあります。これまで、この国でのカリグラフィー界は、少数の比較的特権のある白人に占められていましたが、WOR(L)DSを通じて全く違った「世界」の人達(ジンバブエやコンゴの避難民を含めた)を引き寄せており、南アフリカのカリグラフィー界では、エキサイティングな新時代が始まっています。こういった相互作用は、新しくカリグラフィーを始める人達の励みになるとともに、我々カリグラファーの作品に、より深い意味と生命力を与えてくれます。
南アフリカのカリグラフィーはまだささやかなものですから、これは、ベルギーカリグラファーの皆さん(特にMaud Bekaert)、そしてWOR(L)DSを全力で後押しして下さったブルージェ市の方々の素晴らしく寛大で心温まる、一生懸命かつフレンドリーで賢明な協力なしには何一つとして実現し得なかったことです。皆さんに心から御礼申し上げるとともに、皆さんとの友情を大切にしたいと思います。

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リンク

ビーチ・カリグラフィーは、あくまでもWOR(L)DSプロジェクトの単なる一部に他なりません。ベルギーで有名な砂彫刻作品の豪華さとは比べられるものではありませんが、ビーチ・カリグラフィーがメディアから受けた反響は驚くばかりのもので、地元のTV局や、地元誌及び全国誌にも取り上げられました。そうしたメディア反応のリンク一例を紹介いたします。中に一つ動画もあります。

http://www.standaard.be/Artikel/Detail.aspx?artikelId=4P1TSDDJ

http://www.knack.be/weekend/nl/news/articles/a8740-article.jsp

http://www.focustv.be/articles/index.jsp?articleID=35219§ionID=188&siteID=33

http://picasaweb.google.com/Scriptores.Redactie/ZandkalligrafieEls?authkey=P3CHFSYkIXA

最後に一つ

WOR(L)DS作品カタログは、Maud Bekaertの尽力で集まった広範囲にわたる後援者の方々の援助の賜物です。同カタログは、主要後援者の一人である(また、私のベルギー滞在中お宿を提供して下さった)
OuVert社のHilde Winsteinのデザインであり、その販売から得られた収益は、全てSprinkleとBreadlineに贈られています。カタログ入手をご希望の方は、Chantal(Chantal@sprinkle.be )までご連絡ください。
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定期作品展「Letter Arts Exhibition, Autumn 2008」

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J-LAF主催:定期作品展「Letter Arts Exhibition, Autumn 2008」が無事終了しました。

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J-LAF Letter Arts Exhibition Autumn 2008 は無事に終了いたしました。
会場に足をお運びくださった皆様、ありがとうございました。

今回よりどなたでも出展が可能となったことで夏展に続きスタッフにはやや緊張がありましたが、素晴らしい作品たちが会場に集い、良い作品展になりました。

今回の出展者(10名)
岡本紀子・北見都・佐分利史子・三戸美奈子・清水裕子・天竺桂靖子・藤原由紀恵・三和久代・星幸恵・和田祐子

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次回 Winter 2009 作品展は 2009年1月26日(月)〜2月1日(日)に開催予定です。